知る人ぞ知る隠れ家といっても過言ではない茶屋が存在する。そこは都会の喧騒とは隔絶された場所である。終始静寂に包まれ咳払いでさえ耳障りになってしまう。ここに居る時は悩みや不安事など忘れてしまう。一生ここで過ごしていたいとさえ思い始めてしまう安心感がここにある。
さて今回は山梨県の河口湖付近にある「天下茶屋」という食事処を紹介する。
ここは食事処でもあり、かの有名な小説家「太宰治」の記念館も併設している。またここからは富士山を眺望することが出来、太宰治も愛した景色も親しむことが出来る。
もし河口湖にドライブしに来たら是非足を運んでほしい。
目次
天下茶屋とは
「御坂峠○天下茶屋」とは山梨県 南都留郡にある「御坂峠(みさかとうげ)」のはずれにある食事処である。
歴史は古く、昭和9年に創業し峠を行き交う旅人に食事を提供し続けたとのこと。茶屋の向かいには開けた景色が広がり、中央には富士山を拝める事が出来る。
ここの名物料理は「ほうとう鍋」である。看板メニューでもあるのでもし訪れるなら、ほうとう鍋は是非とも食べていただきたい。
また天下茶屋には「太宰治」が訪れた事があり、その際にここの景色と料理が気に入った事もあり暫くの間は滞在したとされている。
そういう事もあって天下茶屋の2階は「太宰治文学記念室」として、滞在していた部屋を復元しており、太宰治に関する資料の展示も行っている。
今回紹介するのは天下茶屋の本店だが、もう一つ峠を降りたところに分店の「河口湖分店 峠の茶屋」もある。こちらの詳細は今記事では紹介しない。
天下茶屋
内観
内観は見ての通り木造の和室になっており、一回座ると立つのが億劫になる居心地の良さと安心感がある。
また天下茶屋には著名人が多く訪れており、サイン等がたくさん飾られている。
筆者は訪店して知ったのだが、天下茶屋には日本に3名しかいない職人が昔ながらの手法で作っている厚焼きせんべいがあった。筆者はせんべいは普段食べないので購入しなかったが、お土産に喜ばれる品物になると思う。
アクセス
ここ天下茶屋は山の奥にあるので基本的には車で行くべきである。徒歩で行くような場所ではなく、自家用車がない方はタクシーを使用するのが良いだろう。
また細い峠道であり車線も引かれていないので、夜に通る時は気をつけてほしい。
名称 | 御坂峠 天下茶屋 |
住所 | 〒401-0304 山梨県南都留郡富士河口湖町河口2739 |
電話 | 0555-76-6659 |
営業時間 | 9時〜日没 |
駐車場 | 10台、無料 |
定休日 | 年中無休 ※冬季は天候により休業 |
天下茶屋
天下茶屋がある「御坂峠」はいわゆる””旧道””になる。新たにトンネルが建設されたため、わざわざ御坂峠で遠回りする必要もないわけだ。
また御坂峠の道中は景色も映えず、施設も何もない。唯一あるのが天下茶屋だけだ。
よって「御坂峠」を通る人は「天下茶屋」目当ての人だけということになる。
笛吹市から天下茶屋に向かう場合、長い細いトンネルを通ることになる。車とすれ違うのは非常に困難で、中型トラックが来たらどちらかがバックしなければならない狭さだ。
富士急行バス
駐車場
天下茶屋の駐車場は台数が少なく、また道路にはみ出たような形で駐車することになる。
※いわゆる路上駐車のような形だが、私有地なので大丈夫なのだろう
上の写真の黄色い線で囲ったところに車を停めることになる。(仮)と書いたのは右側の路側帯は本来の駐車場ではないからだ。
バイクの場合は右の路肩に停めて写真を撮ってる人が多い。
空から見ればわかりやすいが、駐車場と言えるほどのスペースはほぼない。
また、屋外にもトイレが有るので天下茶屋を利用していない人も外のトイレは利用できる。
太宰治文学記念室
天下茶屋の1階は食事処、2階は「太宰治文学記念室」となっている。記念室自体の見学料は必要ないのだが、公式ページには天下茶屋利用した方のみ、と記載してあるので食事や買い物したら見学出来るシステムだろう。
知らない人はいないであろう太宰治。「人間失格」「富嶽百景」「走れメロス」など、馴染みある非常に有名な小説を世に放った人物である。
そんな彼であるが、その感受性の高さ故に日常生活の様々な場面、特に人間関係においての「真実」という部分に敏感で生きにくさを感じていたようである。
彼は自殺未遂を4回繰り返し、最期は川に入水自殺という虚しい形で人生の幕を閉じた。
さて太宰治と天下茶屋には一体どのような関係があるのか?ということだが、彼が4回目の自殺未遂を行った際、昭和13年に天下茶屋に滞在していた「井伏鱒二」によってここへ連れてこられた。精神的に病んでいた太宰治だが、3ヶ月の滞在により回復したと言われている。この時の事を「富嶽百景」に残している。
展示物(一部のみ)
太宰治文学記念室にはどのような展示物が展示されているのか一部を紹介しよう。すべては紹介できないので、見たい人は自分の目で確かめに行ってほしい。
太宰治が愛した景色
太宰治が天下茶屋に逗留(とうりゅう)していた時に使っていた部屋。その部屋の窓から見る景色を彼は愛したという。実際に筆者も、彼が居たその場所から富士山と河口湖の眺望を楽しんでみた。
上の写真の友人であるが、太宰治もきっとこのような格好で富士山を眺めていたのだろうか。
変わらぬ味「ほうとう鍋」
天下茶屋に来たら絶対に食べてほしい絶品料理がある。それは「ほうとう鍋」である。もともと山梨県の名物であるほうとう鍋だが、ここはアレンジを加えていない定番のほうとう鍋を提供している。
メニュー
メニューは非常にシンプルでどれも美味しいものばかりだ。
おすすめはやはり「ほうとう鍋」なので1ページ目にはほうとう鍋しか記載していない。
季節により、きのこほうとう鍋もあるとのことだが、今回は普通のほうとう鍋を食した。
ほうとう鍋
筆者は数回ここのほうとう鍋を食しているのだが、やはり何回食べても飽きない味だ。シンプルなのだが奥の深さを感じる。定番料理なので迷ったらとりあえずほうとう鍋を注文しよう。
料金:1,080円
筆者が目視で確認出来た具材は、かぼちゃ、大根、きのこ、油揚げ、じゃがいも、玉ねぎ、白菜、人参、ごぼう、といった具合にたくさんの野菜が入っている。野菜の甘味も溶け込んでいて様々な味を楽しむ事ができる。
いもだんご
ほうとう鍋の他に筆者が””かなりおすすめ””する一品に「いもだんご」がある。
すり潰したじゃがいもをカリッと揚げて、中は熱々ほくほくのいもだんご。バターが添えられ、串に刺さった状態で運ばれてくる。食べていく中でバターが溶け出し、バターの甘みと塩がいもだんごにマッチし絶妙な味になる。
是非とも食べてほしい。
料金:580円
天下茶屋からの眺望
天下茶屋から眺める外の景色は美しい。そして静寂。この静寂を求めて来訪される人も居るとのこと。
眼下には河口湖と市街が見える。真ん中にかかっている橋が「河口湖大橋」だ。
市街の喧騒もここでは関係ない。
まとめ
天下茶屋の全てを余すことなく綴ったらとても長くなってしまった。これをすべて読んだ貴方は週末の行き先は決まったことだろう。
なんと言ってもここの静寂な空間は本当に居心地が良い。空間に溶けてしまいそうという言葉そのままだ。
- 天下茶屋は年中無休
- 太宰治文学記念は冬は休業
- 基本的にはマイカーで行くべきである
- バスは1日に約2本
- 太宰治が実際に使用した部屋が復元されている
- 迷ったらほうとう鍋を注文
- いもだんごは絶対に注文するべし
- 夜も通行可能
- 音の大きい車やバイクは悪目立ちしてしまう
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